先週、CULTIBASE Labで「組織の悩みをシェアしてコンテンツを一緒に探そう」というワークショップを開催しました。参加者の皆さんや運営メンバーの支援のおかげで「こんなに楽しいとは思わなかった」「他の仲間でもやってみたい」という声をいただける素晴らしい場になりました。
オンライン交流会『組織の悩みをシェアしてコンテンツを一緒に探そう』:CULTIBASE Lab Lounge
エンジニアリングマネージャーとしてプロダクト開発に携わる私にとって、このワークショップは単なるイベントを超えた大きな気づきをもたらしました。それは「場づくりをプロダクトの一部にする」という、今まで考えたことのなかった開発アプローチの可能性です。
本記事では、今回のワークショップで見えてきた「場づくり × テクノロジー」の可能性と、それをどう体験設計に活かしていけるかについて書きたいと思います。
ワークショップでの気付き
ワークショップのコンセプトは「1人では見つからないものを見つける」でした。具体的には以下のような流れで進行しました。
- 悩みの深掘り:参加者同士でお互いの組織課題を質問し合い、背景を理解
- コンテンツ探索:相手の悩みに合いそうなコンテンツを個人で探索
- 推薦と対話:なぜそのコンテンツを選んだのかを説明し合い、新たな視点を発見
ある程度同じコンテンツが提案されることを想定していたのですが、結果として、それぞれのグループにて全員がほぼ異なるコンテンツを提案していたのです。
同じ「サイロ化」という課題に対して、ある人は「矛盾で遊ぶ」という発想転換のアプローチを、別の人は「暗黙知の価値」に関するコンテンツを、また別の人は「概念シフト」に関する動画を提案しました。それぞれの経験や専門性のレンズが、思いもよらないキーワードを浮かび上がらせる瞬間を目の当たりにしました。
これまで検索機能は「機能」として捉えていましたが、場づくりと組み合わせることで可能性が大きく広がることを実感しました。 ユーザーテストとはまた違った気付きや学びがあり、コンテンツの多様性や、探し方・視点の違いを体感できる貴重な体験でした。
機能を超えた価値創出の可能性
このワークショップを通じて、私は一つの重要な気づきを得ました:機能単体ではなく「場づくり + 機能」の組み合わせによる価値創出の可能性です。
通常、検索機能は「コンテンツを探すツール」として使われます。しかしワークショップと組み合わせることで、それが「学習を起こすツール」として機能することがわかりました。
- 悩みを共有し深掘りすることで、それぞれが異なる解釈をする
- 異なる視点から探索することで、予想外のキーワードやコンテンツが発見される
- 推薦理由を説明し合うことで、新たな気づきや学びが生まれる
これまでプロダクト開発では、個々の機能の完成度や使いやすさに注力してきました。しかし今回の体験で、学習体験設計を中心としたプロダクト開発という新しいアプローチの可能性を感じています。
例えば、「1人では見つからないものを見つける」という体験をデジタル環境でどう再現できるか、多様な視点や会話から生まれる気づきや発見をテクノロジーでどう支援できるか、そして人とテクノロジーの協働で生まれる学習体験とは何かといった問いです。
単に新機能を追加するのではなく、どのような学習体験を設計するかという視点からプロダクト開発を考えることの重要性を感じています。
これから実験してみたいこと
今回のワークショップで見えてきた可能性を、実際にプロダクト開発に活かしてみたいと考えています。
方向性としては大きく2つあります。一つはワークショップ設計を中心に考えてみるアプローチです。今回のような検索機能があるからそれを使ったワークショップを考えようではなく、「このようなワークショップをするための機能を考える」という順序で考える方法です。まずどのような学習体験を設計したいかを先に考え、その体験を実現するために必要な機能を後から設計するアプローチを試してみたいと思います。
もう一つは、ファシリテーターの支援でできる学習体験をAIなどのテクノロジーの力を借りながら再現するアプローチです。今回のワークショップでは、相談役と問いかけ役を分けて役割を明確にし、場に対する貢献や期待について共通認識を作ることができました。このようなファシリテーションによる学習体験を、AIとの対話でどこまで再現できるのか、そして人間同士の対話でしか得られない価値は何なのかを知りたいと思っています。
これらの実験を通じて、場づくりのデジタル化における新しい可能性を探っていきたいと考えています。
さいごに
「1人では見つからないものを見つける」という今回の体験が、場づくりとテクノロジーの融合という新しいアプローチの可能性を示してくれました。
「場づくり × テクノロジー」の可能性は、まだまだ探究の余地があります。 今回の気付きを出発点に、さらに実験を重ねながら、技術と人の協働による新しい価値創出を模索していきたいと思います。
