アジャイルが育む組織文化

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アジャイルが育む組織文化

冒険本読書会に参加して

先日『冒険する組織のつくりかた』の読書会に参加しました。そこでは「軍事的な組織文化の中でどう冒険的要素を取り入れるか」「二項対立にならずに選択的に変革を進めるには」といった実践的な議論が交わされ、組織変革に取り組む方々との対話は、エンジニアリングマネージャー(EM)として過ごした1年間を振り返るきっかけとなりました。

プロダクトマネジメントだけでプロダクトマネジメントができないと感じる理由

以前新規事業に携わっている際に、私はエンジニアとしてプロダクトマネジメントの重要性を説き、チーム内でプロダクトについて対話する機会を増やそうと努めていました。それは純粋に「より良いプロダクトを作りたい」という思いからでした。

しかし、これらの取り組みは一時的なブームで終わってしまいました。今振り返ると、組織の土壌が整っていなかったのです。プロダクトマネジメントのHow(手法やフレームワーク)ばかりに注目し、Why(なぜそれが必要か)やWho(誰がどのように実践するか)の視点が欠けていました。

いくら目標やビジョンを語っても、対話や振り返りを通じて学習する組織文化がなければ、プロダクト開発の課題解決には至りません。こうした問題が組織的な課題から生じていると気づくまでに時間がかかりました。

組織を変えないと組織は変わらない問題

読書会での議論と私の過去の経験に共通する「組織を変えないと組織は変わらない」という課題に直面したとき、変革のための具体的なステップが必要だと感じました。

ここで私たちのチームがこの1年で経験したことを振り返ってみます。

チームの始まりはほぼ個人開発者の寄せ集め状態で、スクラム開発として1週間サイクルで開発を回し始めました。当初は形式的に導入していましたが、徐々にデイリースタンドアップやレトロスペクティブといったプラクティスが対話と振り返りの文化を自然に醸成していくことに気づきました。

振り返りの中でモヤモヤや課題が出てきたり、それを解決するために新たなルールを実験したりする中で、私たちのルーティンは少しずつアップデートされていきました。

EMとして活動し始めて半年ほど経った頃、プロダクトに限らず「組織文化づくりも私たちの重要なアウトプットになる」と感じる程に形式的なものからオリジナリティを感じられるものに進化しました。

アジャイルは単なる開発手法ではなく「組織文化を育てる土」として機能していました。何に変わるかは別として、まずは少しずつ変化し適応していくことは出来るようになっていました。

アジャイルの何が組織文化を育てるのか

プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、

— アジャイルソフトウェア開発宣言

組織文化とはチームの日々のルーティンや規範、習慣のことです。アジャイルの価値観はそうした組織文化を育てる土として機能し、そこから新しい対話や学習の文化が芽生えていきました。
これらの価値観をチームや組織に浸透させることで、どんな変革も受け入れる土壌が育まれていくのではないでしょうか。

おわりに

EMとしての活動を通して「良い組織でないと良いプロダクトは生まれない」ということを、同じようなことを書籍で何度も目にしたことはありましたが、実感できた1年間でした。

ここでいう「良い組織」とは、すぐに完璧を目指すのではなく、可能性を信じて、小さな変化を積み重ね、振り返りながら適応していくことのできる組織です。

プロダクトマネジメントに向き合うときも、「どんなツールやフレームワークを使うか」という問いの前に、「どんな組織文化を育むか」という問いに向き合うことを忘れないようにしたいと思います。